エピソード

  • EP. 620『@伊万里 、其ノ三 - デザートに伊万里フルーツ』
    2026/05/20

    佐賀は南国で豊かな土地であり、佐賀の人々は非常に徹底した性質を持っています。商売では利を取り切り、交渉では甘さがなく、行動力に優れながらも倹約や合理性を徹底しているのが佐賀人の特徴です。しぶとい性質を持ちながらも、つらい顔を見せず、ニコニコ笑顔で対応するあっさりした気質が魅力です。

    伊万里は、東松浦半島と北松浦半島の付け根に位置する地政学的に興味深い場所で、両半島から流れてきた文化を吸収する地点です。古くからフルーツ王国として知られ、伊万里梨は手のひらサイズの小さな梨で、水分豊富で原種の特性を残しています。薄皮のキンカンは種がなく、そのまま食べられる珍しい品種です。また、芯まで真っ赤な「イチゴさん」というブランドが大人気で、フルーツ狩りができるスポットも多数あります。


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  • EP. 619『@伊万里 、其ノ二 - いりこ出汁うどん』
    2026/05/19

    佐賀県伊万里地域は、古くから豊かな自然と文化で知られています。伊万里湾はリアス式海岸で、潮が東から西へ雷のような音を立てて湧き上がる壮観な現象が見られます。この地で古伊万里焼や有田焼などの陶磁器が生まれ、現在ではジャポニズムの影響で世界中で高い人気を集めています。

    伊万里の食文化も独特です。地元ではいりこ出汁が主流で、カタクチイワシやマイワシが豊富に獲れます。また、佐賀は良質な小麦の産地であり、「春風ふわり」という品種で作られたうどんは、いりこ出汁との相性が抜群です。伊万里川沿いには、夫婦円満や長寿を象徴する大きな陶磁器の置物が並んでおり、町を散歩しながらこれらの縁起物を楽しむことができます。歴史と食、工芸が融合した伊万里は、訪れる価値のある魅力的な地域です。


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  • EP. 618『@伊万里 、其ノ一 - 伊万里、味の車海老』
    2026/05/18

    伊万里へ行くなら、東京からは福岡空港が便利です。レンタカーで1時間20分ほど走ると、海と山に囲まれた独特の景色に出会えます。まるで中国の山水画のような風景や、小さな島々が浮かぶ静かな湾が広がっていて、昔はここから伊万里焼がヨーロッパへ輸出されていました。台風の影響を受けにくい天然の良港だったそうです。さらに伊万里湾では車エビの養殖も盛んで、植物性プランクトンが豊富な海で育った車エビは絶品。最近は「プロトン凍結」という特殊な冷凍技術も使われていて、解凍してもまるで生のようなおいしさなんだとか。地元の方も「伊勢海老より車エビ」と太鼓判を押していました。

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  • EP. 617『@指定野菜 、其ノ四 - 浜松の風に負けずと巻くキャベツ』
    2026/05/14

    浜松を訪れ、春キャベツの美味しさとその背景にある風土を体感しました。キャベツは餃子などに使われるものの主役にはなりにくく、指定野菜の多くも同様に目立たず食生活を支える存在です。浜松から渥美半島にかけてはキャベツ畑が広がり、強い風の中で育つ環境が特徴です。キャベツが丸く巻くのは「結球」という性質と風の影響によるもので、葉が傷むのを防ぎ水分を保つため、内側へと重なっていきます。その形は外圧に耐えながら生きる知恵でもあります。春キャベツは柔らかく甘く、冬のものは火を通すと深い甘みが出ます。また、層を重ねた構造は、剥いても核心が現れないものの象徴とも言えます。キャベツは主張せずとも常に寄り添い、食卓を支える存在であると実感しました。

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  • EP. 616『@指定野菜 、其ノ三 - 大根には日本に大きく根ざす理由がある』
    2026/05/13

    軽井沢の澄んだ空気には、身を引き締めるような厳しさがあり、その雰囲気に合うのが辛味大根を添えたそばです。小ぶりな辛味大根は、すりおろすと鋭い辛さで人を目覚めさせる力を持ちます。一方で、日本各地には多様な大根が存在します。鹿児島の巨大な桜島大根、北海道で夏に出荷されるみずみずしい青首大根、東京・練馬の水分が少なく硬い練馬大根など、それぞれ気候や土壌に応じた特徴があります。青首大根はサラダに、練馬大根は煮物やたくあんに適しています。大根は地域ごとに食べ方を変えながら、日本人の食生活に根付いてきました。夏はサラダ、冬は煮物と四季を通じて味わえる身近な食材であり、その力強さは人の内面の成長にも通じるものがあります。

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  • EP. 615『@指定野菜 、其ノ二 - 馬鈴薯、カランコロン、じゃがいもと北海道 』
    2026/05/12

    国が指定している「指定野菜」。これは日本人の食生活を支える重要な野菜を安定供給するための制度で、現在は15品目が指定されていて、今回のテーマ「じゃがいも」も含まれています。北海道・帯広の広大な畑で育つじゃがいもは、寒冷な気候と広い土地、さらに開拓期の奨励政策によって発展しました。南米アンデス原産のじゃがいもは寒さに強く、開拓者たちの重要な食料となり、現在では北海道が全国生産の8割以上を担っています。また、豆や小麦などと組み合わせた体系により土壌が保たれ、安定生産が可能になりました。じゃがいもは単なる野菜ではなく、政策や歴史、風土に支えられた存在です。煮物やカレー、ポテトサラダなど家庭料理に欠かせない食材であり、その味は私たちに温かい家庭の記憶と幸福感をもたらしてくれます。

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  • EP. 614『@指定野菜 、其ノ一 - 高知でキュウリ、河童になろう 』
    2026/05/11

    国の指定野菜でもある「きゅうり」をテーマにしたお話です。高知へ向かう途中、海が見えた瞬間に空気がふっと変わり、甘くて湿り気のある南国らしさを感じます。この水の豊かさこそが、野菜のおいしさを支えているんですね。きゅうりは奈良・平安の頃には「コカ」と呼ばれ、当時は黄色く完熟するまで待って食べていました。それが江戸末期から明治にかけて、青く若いうちに食べる今のスタイルへと変わります。戦後はサラダ文化の広がりとともに身近な存在となり、1960年代には国の指定野菜に。安定供給され、食卓に欠かせない野菜になりました。食べ方もさまざまで、その瑞々しさが魅力です。

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  • EP. 613『@當麻 、其ノ一 - よもぎは祈りのにおいがする 』
    2026/05/07

    奈良県の當麻(たいま)に行ってきました。當麻の名物、よもぎ餅「中将餅」を食べに朝早く向かったのですが、お店の前はもうすでに人でいっばいでした。売り切り御免の中将餅は、よもぎが搗き込まれた餅の上に、餡を控えめにのせたもの。なんといっても、食べた瞬間、お店が独自の畑で栽培しているというよもぎの香りが立ちのぼります。甘さよりもまずやってくるのは「野のにおい」です。名物というものは店先で完結していると思われがちですが、店の奥に見える畑から、本当はそうじゃないことに気がつきます。「當麻寺」を訪ねると中将姫が一晩で作り上げたと言われる「曼荼羅」も残っています。人はときどきことはそのものよりも、言葉が生まれる前の気配にうたれることがあります。當麻はそういう場所なのではないかと思います。

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